使用者は、原則として、従業員を1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させることはできません。これを「法定労働時間」といいます。違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
労働時間は、「法定労働時間」が原則ですが、「時間外労働協定」を締結することで、「法定労働時間」を超えて従業員を就業させることができます。
具体的には、①従業員の過半数で組織する労働組合か従業員の過半数を代表する者との労使協定において、時間外労働について定め、②労使協定を労働基準監督署に届け出て、③就業規則に時間外労働についての規定を定めることが必要になります。
ここでいう労使協定を「時間外労働協定」といい、「時間外労働協定」は、労働基準法第36条に定めがあることから、一般に「36(サブロク)協定」とも呼ばれています。
ただし、従業員に時間外労働をさせる場合には、時間外割増賃金、つまり「残業代」を支払う必要があります。
労働基準法では、原則として、1日に8時間、1週間に40時間以内を「法定労働時間」としていますが、日によって労働時間が大幅に異なる業種や労働時間と私的な時間の区別がつきにくい業種もあります。そこで、労働基準法は、 ①変形労働時間制、②フレックスタイム制、③みなし労働時間制の3つの労働時間の種類を定めています。
変形労働時間制とは、「一定期間」を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができるという制度です。労働時間がその日ごとに異なる業種で採用されています。
「変形労働時間制」には、(1)1ヶ月単位、(2)1年単位、(3)1週間単位のものがあり、業務の忙しさの波がどのような周期で来るのかにより、使い分けがされています。なお、変形労働時間制を採用するには、労使協定または就業規則等において定め、労働基準監督署に届け出をする必要があります。
フレックスタイム制は、従業員が始業・終業時刻を自主的に決定することができる制度です。通常、従業員が必ず労働しなければならないコアタイムと、従業員がその選択により労働することができるフレキシブルタイムを分けて、定めるのが普通です。
なお、フレックスタイム制を採用するには、労使協定または就業規則等において定める必要があります。
みなし労働時間制は、労働時間の算定が困難な業務につく場合に一定の時間を労働したとみなす制度で、従業員の裁量の余地が大きい業種で採用されています。
みなし労働時間制には、「事業場外みなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の三種類があります。
「事業場外みなし労働時間制」は、事業場外で労働することが多い業務をしている場合に、「専門業務型裁量労働制」は、デザイナーやシステムエンジニア等の業務をしている場合に、「企画業務型裁量労働制」は、事業運営に関する企画、立案等の業務をしている場合に、利用される制度です。
なお、みなし労働時間制を採用するには、労使協定または就業規則等において定める必要があります。
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