「障害者雇用率制度」をご存じでしょうか。
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)これを「障害者雇用率制度」といいます。
障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲は、現状(2021年1月現在)、労働者45.5人以上の事業主です。
2018年4月1日施行の改正障害者雇用促進法により、この「障害者雇用率制度」における法定雇用率が引き上げられることとなり、民間事業主は2.3%、国・地方公共団体は2.6%とされました。しかし、経過措置として、現状は、民間事業主2.2%、国・地方公共団体2.5%に据置となっています。
この経過措置についてですが、2021年2月末日までとされ、2021年3月1日以降は原則通り、民間事業主2.3%、国・地方公共団体2.6%が適用されます。
当初、この度の障害者雇用率の引き上げ(経過措置の終了)は2021年1月の予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による雇用情勢への影響等により、2021年3月1日に後ろ倒しされました。
障害者の法定雇用率が2.3%になると、対象となる事業主の範囲は「従業員43.5人以上」に広がります。つまり、法定の障害者雇用率について考慮すべき事業主の範囲が従来より拡大する、ということになります。
先の、従業員数は、「常時使用する労働者数」となっています。そのカウント方法は、パートやアルバイトなど名称を問わず、以下のとおりです。
正社員30人+短時間労働者30人×0.5=常時雇用する労働者数45人
→障害者を雇用しなければならない企業に該当します。
「障害者雇用率制度」における障害者数は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を所有している労働者をカウントします。このうち、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者は、短時間労働として、原則0.5人カウントします。
2021年3月から、従業員43.5人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項)。
報告時期になりますと、従業員45.5人以上規模の事業所に報告用紙が送付されますので、必要事項を記載し、7月15日までに所轄のハローワークに報告しなければなりません。
今回の法改正で、新たに障害者雇用状況報告の対象となる事業主は、確実に対応できるよう準備することが必要です。
常時100人以上の従業員を雇用する事業主には、「障害者雇用納付金制度」という制度が適用されます。これは、障害者雇用率未達成の事業主から納付金を徴収するというものです。
ただし、納付金を収めることが、免罪符となるわけではないことに注意が必要です。納付が課せられた場合は、納付しなければならないことは当然として、障害者雇用の義務がなくなるわけではありません。
反対に、障害者雇用率を達成し、障害者を多く雇用している事業主に対しては、未達成の事業主から徴収した納付金を原資に、調整金、報奨金や、各種の助成金が支給されています。
法定雇用率を達成したり一定数以上の障害者を雇用したりした事業主と、そうでない事業主との間には経済的負担に大きな隔たりがあるため、この事業主間の経済的負担の差を調整するのが「納付金」「調整金」「報奨金」なのです。
新型コロナウィルスの感染拡大が、経済情勢に大きな影響を及ぼす中、いわゆる非正規労働者を中心とした雇い止めや解雇数の急増等が問題となっています。
厚生労働省発表の、令和2年の「障害者雇用状況」集計結果によれば、民間企業における、法定雇用率達成企業の割合は48.6%(対前年比0.6ポイント上昇)とのことで、約半数の事業主(令和2年:45.5人以上規模の企業:法定雇用率2.2%)が法定雇用率を達成しています。
民間企業全体の障害者雇用数57万8,292人(対前年3.2%(1万7,683.5人)は過去17年連続最高となり、中でも精神障害者は88,016人と、前年比12.7%増となったとのことです。
国は、障害者雇用は社会全体で考える、企業が共同で果たしていくべき責任、との考え方を基本としています。事業主として、「障害者雇用率制度」について正しく理解し、国、社会と共に推進していく決意が求められます。
事務所外観
より良いサービスのご提供のため、労務問題の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
【取り扱いエリア】
愛知県西部 (名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,
豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市瀬戸市,尾張旭市,長久手市津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),
一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部 (豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町
関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
以下の事項に関して、万一、閲覧者様または第三者に損害が発生した場合においても、当事務所は一切の責任を負いません。
Copyright © 弁護士法人 名古屋総合法律事務所 All Rights Reserved.
運営管理:弁護士法人 名古屋総合法律事務所 所属:愛知県弁護士会(旧名古屋弁護士会)
弁護士の法律相談・法務相談、司法書士の登記相談・登記手続一般 〒460-0002 名古屋市中区丸の内二丁目20番25号 メットライフ名古屋丸の内ビル6階(旧丸の内STビル) TEL:052-231-2601 FAX:052-231-2602
■提供サービス…交通事故、遺言・相続・遺産分割・遺留分減殺請求・相続放棄・後見、不動産・借地借家、離婚・財産分与・慰謝料・年金分割・親権・男女問題、債務整理、過払い金請求・任意整理・自己破産・個人再生、企業法務、契約書作成・債権回収、コンプライアンス、雇用関係・労務問題労働事件、対消費者問題、事業承継、会社整理、事業再生、法人破産
■主な対応エリア…愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,
豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市瀬戸市,尾張旭市,長久手市津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),
一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市,北設楽郡(設楽町 東栄町 豊根村))
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,羽島郡(岐南町,笠松町),各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,
大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町 関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)