経営者の方なら常日頃考えられていることでしょう。このような目的で従業員のために支出される食費や旅費、施設利用料などの費用や金品は一般に福利厚生費として処理されます。
これらの支出が法人税計算上損金として扱われることは社内交際費などと認定されない限り問題ないのですが、気を付けなければならないことは、所得税法上の給与として扱われて源泉徴収の対象となり、余計な税金が課されてしまうことです(この場合、消費税の課税対象ともならないため、仕入税額控除も取れなくなり、消費税計算上も不利となります)。
従業員のための支出が福利厚生費となるのか給与と扱われるか、その判断は微妙な場合が多くあり、非常に悩ましいものです。
この判断の場面で経理担当者の方が持つべき基本的な考え方は、従業員に何らかの経済的利益が会社よりもたらされたら、原則としてそれは給与として扱わなければならないが、例外として一定の要件を満たせば、福利厚生費として扱うことができる、ということになるでしょう。
ここで言う福利厚生費となる要件とは? というと、まず共通して言えることは、「全ての従業員に公平であること」そして「社会通念上妥当な金額であること」です。これに加えて、個々の支出内容に応じて具体的な基準が通達等に定められています。
では、これ以降、支出内容ごとの要件を検討し、給与と福利厚生費の間を分ける「際(きわ)」を見定めていきましょう。
従業員に昼食など食事を提供する場合、次の要件を満たせば給与とされず福利厚生費処理ができます。
これを利用するための食券を発行する事業会社もあります。例えば、毎月7,000円分の食事券を従業員に渡し、3,500円を毎月給与から天引きするといったシステムになっています。これにより給与課税されることなく従業員の昼食補助が可能となります。
なお、従業員が残業する場合に提供される食事は給与として課税されません。また、忘年会や新年会の費用を会社が負担する場合も、専ら従業員の慰安にために行なわれるもので、通常要する程度の常識的な費用の範囲であれば福利厚生費として処理して差支えありません。
従業員に対して支給する結婚祝いや出産祝い、病気見舞い金等の慶弔金は、「社会通念上相当と認められるもの」であれば給与として課税されません。
これは、広く一般的に慣習として行われていることには課税をしないという考えによるものですので、あくまで常識的な金額の範囲内で認められる、というものです。
これを明確にするため、慶弔金規定を作成して事由ごとの支給金額を明らかにしておくと良いでしょう。
勤続20年といった長期勤務者に対し表彰する場合、記念品を贈呈することがありますが、この場合の記念品は次の要件を満たせば福利厚生費として処理して差支えありません。
なお、記念品として旅行券を渡す場合は基準が緩和されており、支給から1年以内の旅行で使用すること、旅行後一定の報告を会社に行うこと等の要件を満たせば福利厚生費と扱うことができるとされています。
もちろん支給額は社会通念上相当と認められる範囲に限られており、その目安として勤続25年の者が10万円程度、勤続35年の者が20万円程度と通達では示されています。
創業や合併等の記念として従業員に渡される物品につきましても永年勤続者と同様の基準があり、次の要件を満たせば給与と扱う必要はありません。
レクリエーション目的で行なわれるいわゆる慰安旅行も次の要件を満たすものであれば参加した従業員に給与として課税する必要はありません。
なお、自己都合で旅行に参加しなかった人にその穴埋めとして金銭を支給すると、参加不参加を問わず全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとみなされ、源泉徴収の対象とされてしまいますのでご留意ください。
小さなお子様のいる従業員が安定的に勤務を継続できるよう、保育にかかる費用を負担してあげたいというニーズがあることを最近良く耳にします。
通達上、「使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担すること」により従業員が得ることになる経済的利益については原則給与課税しないとされていますので、保育料を福利厚生費とする余地はあると思います。
ただ、全ての従業員に公平で、かつ適正額である必要はあるため、
ことなどが要件として求められると思われます。すなわち、特定の従業員に対し金銭で保育料相当額を支給することは手当とみなされ給与課税の対象となると考えるべきでしょう。
従業員の死亡に伴う家族への補償に備えるため会社が契約者となり生命保険に加入することがあります。この場合、支払った保険料を福利厚生費として処理することに原則として問題はありません。
ただし、その全額を福利厚生費として処理し得るか否かは、契約上満期金がある場合とない場合で異なります。
すなわち、満期時に従業員が生存していた際の満期金(生存保険金)の支払いがあり、その受取人が会社である場合は、会社が負担する保険料のうち、2分の1だけが福利厚生費として損金となります(この場合、残りの2分の1部分は資産として計上する必要があります)。
一方、積立金部分がなく、死亡時に保険金が支払われるのみの契約である場合は、保険料の全額を福利厚生費として差支えありません。これは従業員の疾病等による入院時の補償に備えるための医療保険についても同様となります。
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