弁護士 杉浦恵一
近頃、労働問題に関連して、「つながらない権利」という言葉が使われることがあります。
「つながらない権利」とは、法律上の定義はありませんが、現在のイメージとしては、業務時間の終了後・開始前の時間(退勤後や休日・休暇など)に、仕事上の電話やメール、その他の連絡への対応を拒否することができる権利といったイメージです。
ニュースでは、フランスでつながらない権利が法制化されているといった話もあり、今後、日本でも「つながらない権利」について、議論が進んだり、導入する企業が増えてくる可能性もあります。
このような権利が議論されるようになってきている背景事情として、インターネット技術や携帯電話の普及、昨今の発展により、24時間・365日、連絡をとろうと思えば取ることができてしまうという状況があります。
携帯電話が普及しておらず、固定電話しかない時代であれば、固定電話のない場所にいると職場や取引先との連絡が物理的に困難でした。
しかし、ほぼ誰もが携帯電話を持っていたり、携帯電話の導入コストが下がり、勤務先から業務用の携帯電話が貸与されることが多くなると、物理的には常に連絡を取ることができることになってしまいます。
このような中で、業務時間の終了後・開始前の時間(退勤後や休日・休暇など)であっても、勤務先や取引先から連絡があり、それに対して対応をせざるを得ないという状況が広がっています。
仮に緊急の連絡であっても、勤務先や取引先との連絡は、仕事の一環ということになります。
労働基準法上は、原則として、1日の労働時間は8時間以内、1週間の労働時間は40時間以内という規制がありますので、これを超えると残業(時間外労働)となってしまいます。
労働時間の定義としては、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間というように考えられています。
原則として、勤務先との連絡や取引先との連絡は、業務に含まれると考えられ、そのような時間は使用者(勤務先)の指揮命令下にあるとして、労働時間になってしまうでしょう。
使用者・雇用者のリスクとしては、このような時間外に勤務先や取引先と連絡をとったり、何らかの対応をするようになっていると、それが労働時間となり、残業代が発生したり、過労による労働災害が発生するリスクが考えられます。
過去の例では、警備会社に勤務する警備員の労働条件として、仮眠時間が設けられ、仮眠時間は労働時間に含まれないことになっていた場合であっても、仮眠場所から外出ができないとか、警報が鳴るなどした場合に対応しなければならないような場合には、結果的に何もなかったとしても、完全に使用者の指揮命令下にある状態から離れていないということで、仮眠時間も労働時間として認められた例があります。
このように、使用者の体制として、勤務時間外でも勤務先や取引先からの連絡に対応するような体制になっている場合には、労働時間がかなり増えてしまう可能性があります。
勤務先や取引先と連絡を取ることができる携帯電話など端末を限定し、それを勤務時間外には使えなくするといった物理的な方法をとるか、細かく対応時間について労働時間として報告を受け、集計をしていくか、といったことくらいしか対策はないとは思われます。
このような「つながらない権利」を法制化するところまで行くかは、日本人がどこまで「つながらない」ことを許容するかにかかってきます。
自分が「つながらない権利」をもつということは、逆に言えば、緊急で連絡したい時に連絡が取れないことを認めることにもなりますので、日本人が、連絡が取れないことを、そういったものだと割り切ることができるかどうかにかかってくるように思われます。
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