弁護士 杉浦 恵一
労働基準法では、いくつかの場面で労使協定や従業員の代表との協定を必要としている場合があります。
代表的な場合として、残業をさせることができる場合(いわゆるサブロク協定)や就業規則の作成・変更をする場合(労働基準法90条)が挙げられます。
労働基準法第36条1項では、 「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。」と定められています。
この残業や休日出勤の条文からは、労働時間の延長、つまり残業をさせる場合には、「労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合」、「労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者」との書面による協定を行い、かつ行政官庁(注:所在地を管轄する労働基準監督署)に届け出ることが必要となっています。
このような要件を満たさない場合には、原則として残業命令や休日出勤命令を出すことができないと解釈されます。
大企業では企業内労働組合があり、労働組合との協定(労働協約)によって残業をさせるための協定を結ぶことが可能でしょう。しかし、多くの中小企業では労働組合がないことの方が多いと思われます。
このような場合には、労働組合を結成することも大変ですので、労働者の過半数を代表する者を選び、この代表者との間で協定を結ぶことが大半でしょう。
このような代表者を「従業員代表」と呼ぶことが多くありますが、「従業員代表」はどのように選ぶことになるのでしょうか。
労働基準法では、具体的な方法については定めていませんが、労働基準法施行規則6条の2、第1項に、以下のような定めがあります。
「法第十八条第二項、(中略)に規定する労働者の過半数を代表する者(以下この条において「過半数代表者」という。)は、次の各号のいずれにも該当する者とする。
一 法第四十一条第二号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
二 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。」
この点からは、まず管理監督者(従業員の中でも経営者と近い立場の従業員)ではないことが必要になります。
また、使用者の意向に基づいて選出されていないことが必要になります。
具体的な方法までは決まっていませんが、従業員代表を、例えば会社側が指名し、従業員から異議が出なければ決定するというような方法は、従業員が異議を出すことが難しく、法令の趣旨に反すると考えられますので、そのような方法では従業員代表を選出することは難しいと考えられます。
あくまで従業員の過半数を代表する必要があることから、少なくとも従業員の過半数が支持していることが必要ではないでしょうか。
従業員代表の選出方法に何らかの瑕疵・問題があるような場合には、その従業員代表との間で結んだ協定やその従業員代表の意見が効力を持たなくなることも考えられます。
このような問題があることから、従業員代表を選出するような場合には、どのように選出され、各従業員が支持しているのか否か、後で確認できるような方法をとる必要があるでしょう。
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